最終講義に参加

日本の年度末である3月は、退職される研究者の方の最終講義が多い。今までは偶然、日本に帰ってる時にしか参加できなかったのが、リモートワーク(Zoom)のおかげでアメリカからでもリアルタイムで参加できるのは有難い。ここ2週間の間に、同じ分野の3人の方の最終講義に参加した。最終講義というだけあって、研究者人生を全て振り返るスタイルの発表。学生時代、ポスドク時代、研究者時代、それぞれの時代に研究していたテーマを紹介したり、その時にお世話になった先生、同僚、後輩への謝辞などなど。 今までに参加したものも含めて、「そういう研究もされていたんですか?」って感銘を受けることが多く、かなり聞き応えがある。と同時に、もっと早く知っておきたかったなとも。聞けば聞くほど、論文になってない仕事が多いこと。参加申し込みをした時に、「一言どうぞ」っていう案内には「おめでとうございます」とは書くものの知り合いが減っていく寂しさの気持ちが多め。

週末前にちょっとタホ湖へ。この冬はよく雪が降っていて、まだまだどかっと雪が残ってる。湖と雪、砂浜の組み合わせが不思議な感じ。タホ湖でアルティテュード(高所)ダイビングはできるけど、水はめちゃめちゃ冷たいので、夏以外はお勧めできへんかな。いや、知らんけど。

プロポーザル採択されず

論文が掲載されて浮かれてたら、数日後、去年の11月に出した研究プロポーザルの不採択の通知が来た。この類のメールの書き出しは、「I regret to inform you that … (残念ですが、…)」これだけでも衝撃が大きいのに、自分のプロポーザルの評価がFairとGoodしかない低評価で、これの方がかなりショック。レビューの内容を今は見る気になれないから、数日置いた後にするか。去年の夏に終わったプロジェクトを継続するための研究資金になる予定がなくなり、プロジェクトが立ち消えになってしまう可能性が大。念の為、もう一つプロポーザルを別のところに出していて、それが採択されなければ、終了かも。研究プロポーザルは、1つ外れると、今後、全く採択されなかったら?!とかネガティブな思考に陥ってしまい、精神衛生上良く無い。そうなら無いように、レビューを見返し、論文を書いて、新たなプロポーザルを書くのみ。

久しぶりに外食した。シーフードを売りにしているレストランでフィッシュアンドチップス。大きめのタラのフライとポテト、タルタルソースとモルトビネガー、イギリスの定番料理やけども、アメリカで食べてもハズレがなく、ここのレストランでも美味しい。

学会のため名古屋に移動

今回の一時帰国の目的は7対3ぐらいで仕事多め。石垣から大阪に移動して5日ほど仕事、その後、名古屋で3日間の学会に参加。今年初の招待講演でしかも日本語での発表なので、準備はしっかり目に。なぜなら、日本語での発表がおそらく10年ぶりぐらい、日本語発表の招待講演は初めてで、緊張する。まずは英語の発表資料をすべて日本語に直して、さらに発表しやすいように詳細を変更。知り合いの研究者の人に日本語での学会発表、資料についてアドバイスをもらい、あとは発表練習をするのみ。一つ学んだことは、この余計なところが削ぎ落とされた日本語の資料を英語に戻すと、元の英語の資料よりもかなり改善されたものになりそう。なるほど。

新大阪から名古屋へは新幹線で1時間ぐらいなので、のぞみ、ひかり、こだまでも何でもいいけど、スーツケースみたいな大きい荷物(特大荷物)は予め荷物が置ける座席の切符を購入する必要があるらしい。以前は「自由席の切符を買って、足元のスペースに置いといて良い」ってみどりの窓口で言われたのに、ルールが変わったのかな。しかし、この切符、オンラインで買えるけど受け取れないようので、やはり、みどりの窓口へ。荷物が置ける席はまぁまぁ埋まっていて、駅に着いた時間から30分ほど遅い発車時間のものを購入して乗り込む。まぁ、空いてる。パソコン開いてちょこちょこ作業してたらあっという間に名古屋。

本日からのお宿は、名古屋JRゲートタワーホテル。駅に直結でスーツケースを引き摺る距離が短いということで選択。なかなかな眺め。残念ながら名古屋城は反対側。

研究プロジェクトの終了(NSF)

2017年9月から始まった自分の研究プロジェクト(リンク)が今年の夏で終了した。このプロジェクトは、初めて自分がPrincipal investigator (主任研究員)として始動したものでかつ、自分の名前で研究費(3年で$330,000)を獲得したもの。研究費はアメリカ国立科学財団(National Science Foundation, NSF)に出したプロポーザルで獲得。地道に日々研究を続け、毎年、6、7月ごろに年間の報告書を提出。プロジェクトを1年延期したところでコロナ禍になり、さらに1年延長。ついにこの夏にお金が尽きて終了。プロジェクトが終了すると、年次報告以外にそのプロジェクトの総括と一般向けにどういう成果が得られたかのまとめ(outcomes)が必要で、12月の半ば、やっと全ての報告書を出し終え、このプロジェクトは完全終了。

振り返ってみると、論文は学生主体のものが2本に、自分のが3本の計5本出せた。学生の奨学金として博士の学生を2人、あと学部生の研究補助として5人ぐらいがプロジェクトのサポートを受けたかな。始めた当初は、お金をもらって研究してるから結果を出さねばというプレッシャーが大きかったけど、意外と自由な感じに研究させてもらえるんやなと。例えば、当初予定していた実験施設がプロジェクトの2年目辺りで閉まることになり(のちに再開)、その際、プロジェクトマネージャーに相談したところ、研究目的を達成することが最重要なので、他の実験施設を使うこともアリやと提案をしてくれた。別の機会には、メインの研究テーマから派生したスピンオフ的な研究を進めるのも応援してくれたり。後々、学んだのは、研究費にも種類があって、いわゆるGrant(グラント)っていうのは、研究提案、手法を細かく申請書に書くものの、状況によって生じる変更が比較的簡単。それに対して、corporate agreement(契約)っていうカテゴリのものは、提案した通り、そのままに進める必要があるらしい。変更可能ではあるものの許可を得るのは手間がかかる。少し前に準備してたプロポーザルはこのプロジェクト(グラント)の更新の申請。さて、評価は如何に。

たまにハンバーガーが食べたくなる。我が家の行きつけの1つは、Five Guys。普通のハンバーガーが大きめなので、小さめのLittle Cheese Burgerとフレンチフライ。たまに塩気がキツすぎることがあるけど、ここのポテトはなかなか。あと、店内で食べる場合は、ピーナッツがテーブルに置いてあって食べれる。

論文発表される(初PRL!)

3月後半に1年以上もエディターとやりとりしてた論文が受理され、4月半ばに発表された。今回のはでかい。発表されたジャーナルは、Physical Review Letters、通称、PRL。物理の世界では権威のあるジャーナルで、それなりにインパクトがあり綺麗に説明されてる結果でないとアクセプトされない論文誌。よそのPRLに自分の論文が出た(リンク)。初PRLだけに嬉しさはある。

ただ、大きい山を越えた感はあるけど、まだ戦いは続いてる。インパクトのある論文がでるとプレスリリースを出す。いわゆる号外みたいな。なぜか大学のプレスリリースオフィスともめてて、プレスリリースの準備をしたいのに全然、話が進まん。3月後半の論文が受理された段階からコンタクトを取り始めたのに、5月半ばになってもまだ何の音沙汰もなく、それどころか、共同研究者の方から先にプレスリリースが出たほど(大阪大学からのプレスリリース)。

なぜにこんなところで足止めを食らうのか。悩ましい。

査読2つ終了。査読記録サイトPublons

1週間ほど前に依頼のきてた査読を一気に片付ける週末。2つ終了。査読は、基本、ボランティア。いくら査読したからといって何か報酬が払われるわけでもない。その辺がどうなの?という議論はいつもあって最近ちょっと目にした動きは、査読した論文、年度を研究者個人の記録として公開していくというもの。他にもありそうな気がするけど、自分がとりあえずやってみたのは、Publonsっていうサイト。研究者の研究結果、競争的資金をまとめるのに研究者個人の番号を作ったりするわけやけど、それらと連動して査読の結果も残る。公表度合いは自分で決めることができて、査読したことだけ公表とか、査読した雑誌名だけ、査読内容を公表することもできるっぽい。利用者は、査読が終了した時に、編集者から来るメールをこのPublonsに転送するだけ。自分で細々した情報を入れる必要がなく、手間は省ける。試しに2つほど「査読終了、お疲れさん」メールを転送してみたら、数日経って査読記録が登録されてた旨のメールが届いた。なるほど。他にも使ってる人がおんのかなと思って、自分の分野のキーワードで検索すると数人ほど見つかった。へ〜、この人がこんなに査読してんのか、とかこの雑誌の査読してんのか、っていう情報にはなるけど、それを知ってどうするかという疑問は湧く。

一番引っかかったのは、編集者からの確認メールを転送するところ。これには、自分が査読内容がそのまま書いてある。また、メールにはこのメールの内容は守秘でと書かれてる。それを転送するってどうなんやろう。っていうか、あかんやろ。送ってしまった2つのメールは、そのまま送ったから査読内容も向こうに渡ってしまってる。まず守秘してないことにどうなんやろうっていう疑問が湧いてるのと、査読記録を公表してどうなんかと。なんかSNS一般に見られる承認欲求の1つに過ぎへん気がする。。。人は人で好きにすればいい。自分はアカウントを消す依頼をぽちっと。

エジンバラ出身の科学者

イギリス出張・旅行で書き忘れてたエジンバラ出身の科学者(自然哲学者)について。

エジンバラで泊まってたホテルから歩いてダウンタウンに向かってたときにふと家にプレートが掛かってるのが見えて何かと思って寄ってみてみたら、

James Clerk Maxwell(マクスウェル)!! Natural Philosopher(自然哲学者), 1831年6月13日生まれ

ビックリした。有名なマクスウェル方程式ってのがあって、物理、電磁気学で間違いなく出てくる。このセメスター教えている光学でも、すべての基礎になってる。たまたま通りかかったところが生家らしい。調べてみると、エジンバラの街中に銅像もあって、探したらあった!!車通りがある道の分離帯にあって、テンションあがったわ。もちろんマクスウェル方程式も地面と銅像の後ろの台座のところに示されてる。今まで授業で話ししてても、自分も教科書から学んだだけのことで、そんなに親近感を覚えてなかったけど、めちゃ親近感出たわ。当然、帰ってからの授業で、「この人はだれでしょう?」クイズ形式にして学生に紹介。